スマホ疲れでボードゲーム人気?「むかつく友達」ゲームも
ここのところ、ボードゲームが人気だという。その背景には「スマホゲーム疲れ」があるようだ。
デジタルゲーム全盛のいま、電源を使わない「非電源系」とも呼ばれる「ボードゲーム」がファンを増やしている。ルールを簡略化した「どうぶつしょうぎ」の売り上げは、国内50万セット超。会話を糸口に参加者の中にまぎれた「人狼」を探し出す「会話型心理ゲーム人狼(JIN-ROU)」は、発売から1カ月余りで1万3千セットも売れた。
会社員兼DJのムードマンさん(43)は、「息子がDSにハマってしまい、一人の世界に閉じこもりがちになった」ため、3年ほど前から妻も交えてやってきた。集めたゲームはおよそ100種類。いまでは息子に裏をかかれて負けることもあるが、そこでわが子の成長を実感する。ムードマンさんは、非電源系の静かなブームに「スマホ疲れ」があるとにらむ。
「スマホのゲームって基本は無料ではあるけれど、アイテムを買わないと勝てないでしょ。要するに機会不均等で、ゲームに深みがない」
ボードゲームにも購入という投資は要る。だが、一度買えばあとは知恵次第。勝つチャンスは均等に用意されている。また開発する側にとってもそれは同じで、いま、業界は「夢のある世界」だとも言う。
「開発費は、デジタルよりもはるかに安いですから」
個人で開発することもあるから、作家性も出る。ゲーム大国ドイツの人気開発者に、フリードマン・フリーゼ氏がいる。「電力会社」といったゲームも出す社会派で、彼のつくった「むかつく友達、行きたくないパーティー」は傑作だ。ムードマンさんは絶賛する。
「むかつく友達~」は、人生の目的達成を目指す成長ゲームなのだが、人生体験のカードに「髪を染める」「セックス」「ギャンブル中毒」「両親の離婚」なんて項目がある。過激で毒があるが、人生の苦さを教えてくれる。
デジタルゲームのテクノロジーは飛躍的に進歩してきたが、実際にはアイテムを集めて敵を倒す、あるいは成長するなど、パターンが画一的になった感もある。皮肉にも、テクノロジーと無縁のボードゲームの世界はかくも豊かなのだった。
※AERA 2013年9月16日号
■週刊プレイボーイ43号「アナログゲーム人気再燃のワケ!!」
“絆”を再確認できるコミュニケーションツール。
そこにアナログゲームが人気になる理由があるようだ。
http://wpb.shueisha.co.jp/2013/10/16/22492/
『どうぶつしょうぎ』(幻冬舎エデユケーション)
http://www.gentosha-edu.co.jp/products/post-34.html