ボードゲームが広げる人間関係

 

出会い新鮮
ボードゲームが広げる人間関係
ひとつの机囲んでワイワイ

 机の上にボード(盤)やカードなどを並べるゲームで、仲間との駆け引きを楽しむ人の輪が広がってきた。初対面の人とも一緒に遊べる場所が増加。インターネットを通じた口コミやイベントなど、知るきっかけも多彩になり、新たな人間関係が生まれている。

■初対面でも遊べる
 週1回程度開かれる「ボードゲームナイト」に集まる顔ぶれは学生から仕事を終えた会社員まで様々。この催しで遊び、知り合いになるケースも多い。会社員の久保能哉さん(22)もゲームを通じて仲間が増えたひとり。「友人宅で遊んだゲームが面白くて、ネット検索でこの店にたどり着いた。いろいろな人と遊べて楽しい」と笑う。

■子どもの知育に
 鳥取県境港市では、ボードゲームやカードゲームなどの「アナログゲーム」を子どもと楽しんでいる。同市子育て健康推進課の池淵賢自さん(42)は「家族で過ごす時間づくりや子どもの知育に、市の政策として3年前にアナログゲームを採り入れた」と話す。保育園などに配布、愛好家有志を中心に、親子連れで遊ぶ「アナログゲームを楽しむ会」を市内各地で30回以上続けてきた。
 渡辺博美さん(44)は、小学生から3歳まで3人の子どもと一緒に通う連。「子どもは対戦相手の表情、反応を読み取ることや、負ける悔しさ、我慢を学べる。親子や友達との交流も深まる。私も熱中しています」
 渡辺さん一家が夢中になるきっかけは活動の推進役のひとり、高橋克己さん(48)が経営するおもちゃ店「木(もく)や」との出合い。高橋さんは「東日本大震災もひとつのきっかけだろうが、顔を合わせて人と付き合う大切さを再認識する今の時代とゲームの特徴が合ったのでは」と分析する。

 ボードゲームや体験型ゲームの人気の背景には、震災を機に家族や仲間とのつながりを大切にする過ごし方が見直されたことがある。また、大阪商業大学アミューズメント産業研究所の高橋浩徳研究員は「ネットやSNSでゲームや仲間に簡単にアクセスできるようになった。スマートフォンなどでのオンライン対戦や交流が当たり前になり、趣味が同じならば直接顔を合わせる抵抗感も薄れているのではないか」と解説する。

日本経済新聞 2014年3月11日より抜粋
http://mw.nikkei.com/tb/#!/article/DGXBZO68036450Q4A310C1WZ8000/